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おかやま次世代電池共創コンソーシアム令和2年度第一回セミナーを開催しました

 本年度第一回セミナーは、新型コロナウイルスの感染対策のため、オンラインで開催しました。電池はものづくりの側面が高い集積型の産業ですが、今回は、シミュレーションや分析手法の側面も重要性であるという視点でセミナーを企画し、第一回セミナー(1月19日(火)開催)では、岡山大学大学院自然科学研究科マルチスケール設計学研究室の三澤賢明助教と岡山大学大学院自然科学研究科構造化学研究室の後藤和馬准教授にご講演いただきました。会員企業紹介や関連技術紹介も盛り込んだセミナーには、39名の方にご参加頂きました。 

ご講演では、三澤賢明先生に、本学で開発されたチューブ状ナノ粒子様形態をとるバクテリア産出鉄酸化物(BIOX)をリチウムイオン電池(LIB)の負極に用いると高容量化が出来ることを、ご専門の「第一原理分子動力学法(FPMD)」により電池シミュレーションに応用した例と、電池をバルクとしての挙動として理解するため“ANNポテンシャル”の適用の可能性について、シリカの非平衡状態の衝撃圧縮挙動の解析を例に展望をご説明いただきました。

  後藤和馬先生からは、最近プレスリリースされた研究成果「蓄電池過充電時の金属析出メカニズムを解明」「超高容量を示すナトリウムイオン電池用炭素負極材料の開発に成功」を中心にご発表いただきました。リチウムイオン二次電池(LIB)は最近多発しているごみ収集時等の発火事故が大きな課題であり、後藤先生ら研究チームは充放電挙動を直接見ることが出来ればそのメカニズムを理解できるとの仮説立案により、炭素負極にインターカレーションするLiのデンドライト発生機構をoperandoNMR分析によって明らかにしたことをご報告いただきました。ナトリウムイオン電池用炭素負極材料の開発は、東京理科大学駒場先生ら複数の研究チームと共同で行われたもので、ナトリウムのインターカレーションに最適なハードカーボン(難黒鉛化性炭素)負極をMgO鋳型炭素法で創成する内容をご紹介いただきました。

 また、豊田通商株式会社様より次世代電池関連技術の紹介をいただき、コンソーシアム参画企業の松陽産業株式会社様より企業紹介をいただきました。

 最後に、コンソーシアム共創の場担当の松村特任助教より今後の活動について報告されました。                              

司会を行う松村特任助教・コンソーシアム共創の場担当
発表する後藤准教授・本コンソーシアム会長

 本コンソーシアムは、岡山県「大学と連携した地域産業振興事業」の一環として立ち上げたものです。次世代電池分野において共同研究を目指す企業と大学研究者などが集い、多面的な連携による共同研究の促進を図る「共創の場」として、岡山大学津島キャンパスに会員が利用できる「オープンラボ」を2カ所開設し、電池の試作や評価・解析などを可能にするほか、専門家を招いて定期的に勉強会を開催するなどさまざまな支援を行い、参画する企業と研究者による共同研究を促進して関連技術の高度化につなげることを目指しています。

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